知識をビジネスに変える (P.F.Drucker) SE,技術者へ マネジメントへの道13

チェンジ・リーダーの条件 P・F・ドラッカー

( )内は、ウィル株式会社 奥野 智洋の私見です。

Management should share goals

第2章 (知識をビジネスに変える)
( Tマネージャー・・・サポート部門の責任者。マネージャーに着任して1年、SE10名のマネジメントを試行錯誤している

  M氏・・・Tマネージャーのメンター

M氏「T君、マネージャーになってそろそろ1年だね。慣れたかな」

Tマネ「はい。慣れはしましたが・・・。」

M氏「・・・、それで。」

Tマネ「慣れましたが、戸惑っています。新任マネージャー研修でやったことなんて、誰もやってないじゃなですか。」
「人を育てる、チームワークを良くする。そんなこと誰もやっていない」

「ただ目の前の予算と絶え間ないクレーム対応ばかりです。」

M氏「それは、T君自身が目の前シンドロームに陥っているからだよ。
よく見るんだ。業績の良い課はチームワークが良くて、目の前の事で右往左往していない」

Tマネ「本当ですか? そんな風に見えていません」

M氏「じゃ、君の好きなドラッカーはなんと言っている? 」

Tマネ「知識を仕事に適用する。より賢明に働くことをもって、より激しく働くことに変えた」

M氏「だろ。さっき君は懸命に働いていることを主張していたね。つまりマネジメントしていないんだよ」

Tマネ「えっ、でも我々SEは専門知識の集団ですよ。専門知識で仕事していますよ。」

M氏「じゃ2ページ前も確認しよう」

Tマネ「知識を生産資源に変える

それらの知識や知識労働者に成果をあげさせることのできるものがマネージメントである。しかもマネージメントだけである。知識を装飾と贅沢の地位から生産資源に変えたのはマネージメントである」

M氏「そのドラッカーの考えに基づけば、
①君は君のメンバーに成果をあげさせていない
②君は専門知識はありそうだが、生産資源(ビジネスモデル)には変えていない
このふたつから、君はまだマネジメントできていない。

Tマネ「じゃ、どうすればいいのですか」

M氏「さっきの続きを読めばいい。そこにマネジメントとは何か、が書いてある」

Tマネ「マネジメントとは何か

・マネージメントとは人間に関わることである

・仕事について共通の価値観と目標を持つことを要求する

M氏「ここがポイント、目の前の予算ではなく、共通の価値観と目標を持つこと。T君、君は自分のメンバーと価値観と目標についてどのくらい話し合ったのか」

Tマネ「・・・」

M氏「ひとまず、次を聞こう」

Tマネ

「・マネージメントは組織とその成因を成長させなければならない

M氏「新任マネージャー研修と同じじゃないか。次は」

Tマネ「・組織は異なる仕事をこなす技能と知識を持つ人間たちからなる」

M氏「だからそこにはコミュニケーションが重要になる。異なるスキルを持つ人のチームワークがよければそのチームは強くなる。ポートフォリオ理論。で、つぎは」

Tマネ「・成果の評価基準は売上や利益だけではない。マーケティング、イノベーション、生産性、人材育成、財務状況など多面的な評価指標が重要でありかつその組織の特性を表したものが必要である」

・最も重要なこととして、組織にとって成果は常に外部に存在する企業の成果は顧客の満足である」

「クレームが多いというのは実感です。ただ継続的にリプレースしてくれるので、ある面では満足してくれているのでしょうか。自分も手応えがある」

「共通の価値観と目標の共有。そしてコミュニケーション。ですか。

でも、具体的にはどうやって」

M氏「それも、その続きにある。コミュニケーションはNLPでカバーする。

それより、ひとつ重要なことが抜けた。

知識を仕事に適用する。より賢明に働くことをもって、より激しく働くことに変えた。

は科学的管理法のフレデリック・テーラーのことば、そのテーラーがなした大変化

それが教育研修である。
業績の良い課は、目の前の仕事が忙しくても教育訓練の時間を取る。目の前の時間を将来へ投資する。
将来への投資がなくなれば、現状維持が精一杯で下降線となる。

教育訓練により人は成長の機会が与えられる。教育訓練+OJTにより、優れたスキルを標準化して組織的に対応(組織メンバーなら誰でも)出来るようになった。
T君、今の君の課はどうかな」

 

次回は、「マネジメントの課題」です。

できるだけ簡潔に、紹介していきたいと思います

次回もお付き合いください)

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